最初で最後の一家団らん

私が中学生の頃、両親の離婚が決まり、私はお母さんと暮らす事になりました。
お父さんは料理人ですが、家では一度もごはんを作ってくれた事はありませんでした。

そんなお父さんが、家を出ていく時に「最後ぐらいはお父さんがごはんを作ってやろうか?」と言い、作ってくれた寄せ鍋が、33年間生きてきた中で、一番美味しかったです。
料理人のお父さんが、朝から丁寧にかつおと昆布で出汁をとり、お父さんが自分で買ってきた、新鮮な魚やホタテと新鮮な野菜、あとはお豆腐屋さんのもめん豆腐。
シンプルだけど、お出汁がきいていて、すごく美味しかったです。

いつも私は、寄せ鍋の時には、ポン酢、一味唐辛子やゆず胡椒を入れて食べるのですが、お父さんの寄せ鍋はポン酢などは入れずに、そのままで食べました。
シメはごはんを入れて、溶き卵とネギを散らしたおじやも最高でした。

お父さんと中学生の時に離れたきり一度も会っていないので、もう2度と食べる事はできません。
自分でも同じように作ってみましたが、お父さんの作ってくれた寄せ鍋とは何かが違い、あの味にはなりません。
毎年、寒くなるとお父さんが作ってくれた寄せ鍋が恋しくなります。

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